鍼灸師とは?鍼灸師の資格や向いている人の特徴を解説

はり・きゅうは東洋医学を背景としており、気の滞りや詰まりを調節することで、人間の自然治癒力を高める治療法です。
鍼灸師は、はり師・きゅう師の国家資格を両方持つ方の総称で、多くの方ははり・きゅう治療院や、病院・医院で働いています。また、ある程度経験を積んで開業する方や、スポーツ業界や鍼灸師養成学校で働く方もいます。
当記事では、鍼灸師の仕事内容や鍼灸師になるための方法、鍼灸師に向いている人の特徴について解説します。学生の方で現在鍼灸師を目指している方や、鍼灸師に転職しようと考えている社会人の方は、ぜひ参考にしてください。
1. 鍼灸師とは?

鍼灸師(しんきゅうし)は、伝統的な東洋医学の一種である鍼(はり)と灸(きゅう)の治療を行う専門家です。国家資格である「はり師」「きゅう師」の資格を2つとも持つ人を、一般的には鍼灸師と呼びます。
鍼灸師は、体内のエネルギーの流れ、いわゆる「気」のバランスを調整して健康を維持・改善するのが主な目的です。
1-1. 鍼灸とは?
鍼灸は、古代中国から始まった伝統的な東洋医学の1つであり、特殊な針(鍼)や熱を利用した治療法(灸)を用いて、さまざまな疾患や症状を治療する方法です。
具体的には、患部の痛みの緩和・ストレスや不安の緩和・免疫力の強化・消化機能の改善などが期待できます。一方で鍼灸は、西洋医学の治療と組み合わせて行われることも多く、その効果を高めるための補助療法としても活用されています。
鍼灸施術の流れ |
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1-2. 柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師との違い
鍼灸師と似た職種に、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師があります。
柔道整復師 |
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柔道整復師は、同じく医療系の専門職で、骨折や脱臼、捻挫などの急性期の外傷や、肩こりや腰痛といった慢性的な痛みに対する治療を行います。主に手技による治療(マッサージやストレッチ、関節の調整など)を行い、身体機能の改善や回復を目指します。 柔道整復師も国家資格であり、国家資格に合格して経験を積むことで、将来的には接骨院や整骨院といった施術院を開業することが可能です。(※開業には施術管理者要件も必要です) |
あん摩マッサージ指圧師 |
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あん摩マッサージ指圧師は、「あん摩」「マッサージ」「指圧」の3つの技術を用いる医療系の専門職です。あん摩マッサージ指圧師の技術も東洋医学に基づいており、手技によって筋肉のこりや緊張を解きほぐし、血行を良くすることで、体調の改善や健康維持を促します。 あん摩マッサージ指圧師も国家資格であり、取得することで治療院などであん摩マッサージ指圧を行えるようになります。 |
鍼灸師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師は、人の身体の痛みや不調を改善することを目指している点では共通していますが、手法と理論的な背景が異なります。
鍼灸師は伝統的な東洋医学の理論に基づいて、体の経絡やツボを鍼や灸で刺激し、気の流れを調整することによって健康を維持しようとします。
一方、柔道整復師は主に身体の構造や機能に対する手技を用いて、外傷や筋肉・関節の問題を治療します。特に運動器系の急性期の外傷や疾患に対する治療に活用されています。
あん摩マッサージ指圧師はマッサージや指圧を用いて、筋肉の緊張を和らげて血行を改善することやリラクゼーションなどを目的としています。特に肉体的な疲労やストレスの軽減に重点を置いています。
2. 鍼灸師になるには?

鍼灸師になるためには、国家資格である「はり師免許」「きゅう師免許」を取得しなければなりません。はり師・きゅう師の国家試験を受けるためには、国が認定した専門学校、大学、短大などで、はり・きゅうの技能と知識を3年以上修学する必要があります。
なお、視覚障害者の方は、盲学校や視力障害センターで学ぶことも可能です。中学校卒でも5年の教育を受けることで、国家試験の受験資格が得られます。
2-1. はり師・きゅう師国家試験の概要
はり師・きゅう師国家試験の概要は、以下の通りです。
試験日 | 年1回(例年は2月下旬の日曜日) |
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試験地 |
※視覚障害者の方は各都道府県で受験可能 |
試験科目 |
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2-2. はり師・きゅう師国家試験の難易度
2023年のはり師・きゅう師国家試験の合格率は以下の通りです。参考としてあん摩マッサージ指圧師・柔道整復師も記載しています。
受験者数 | 合格率 | |
---|---|---|
はり師 | 4,084名 | 70.4% |
きゅう師 | 4,010名 | 71.7% |
あん摩マッサージ指圧師 | 1,296名 | 88.6% |
柔道整復師 | 4,521名 | 49.6% |
出典:厚生労働省「第31回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について」
出典:厚生労働省「第31回柔道整復師国家試験の合格発表について」
はり師・きゅう師国家試験の合格率は、どちらもここ5年で70%代を推移しています。受験年によって多少難易度のバラツキはあるものの、ほかの国家資格と比較すると、比較的合格しやすい試験と言えるでしょう。
3. 鍼灸師に向いている人の特徴は?

鍼灸師を目指す上でまず大切なのが「鍼灸師になりたい」という強い思いです。それ以外にも、以下の特徴がある方は、鍼灸師として働きだした後もやりがいを持って長く働くことができるでしょう。
- ・コミュニケーション能力がある人
- 鍼灸師は、患者と直接接する職業です。患者の症状や悩みを理解し、適切な治療を提案するためには、優れたコミュニケーション能力が必要となります。患者の不安に寄り添い、信頼関係を築くことも大切です。
- ・学び続けられる人
- 医療の世界は常に進化し続けています。鍼灸においても、新しい研究結果や治療法が年々出てくるため、鍼灸師は最新の知識を継続的に学び、自分のスキルを更新し続ける必要があります。
- ・観察力がある人
- 鍼灸師は、患者の身体の状態や反応を詳細に観察し、それに基づいて治療を進める必要があります。小さな変化を見逃さずに捉える能力がある人は向いているでしょう。
- ・清潔感がある人
- 鍼灸師は、患者と直接接触する仕事ということもありますが、感染症などの予防の観点からも、清潔感が欠かせません。
- ・手先が器用な人
- 鍼灸治療では、ツボの位置を正確に把握したり、正しい部位に鍼を刺したりと、正確かつ繊細な手技が求められます。
上記のような特徴を持つ方は、鍼灸師に向いていると言えます。もちろん、訓練と経験を通じて上記の特徴やスキルを磨くことは十分可能ですので、まずは自分のやる気や鍼灸師になって叶えたい夢を大切にしてください。
まとめ
鍼灸師になりたい場合、鍼灸専門学校か鍼灸学科がある4年制大学を卒業することが必要です。その後、はり師、またはきゅう師の国家試験合格を目指します。はり師、きゅう師の国家試験の合格率は、どちらも70%以上で推移している傾向にあり、しっかりと対策していれば、合格するのは比較的難しくない試験と言えます。
高齢化が進んでいる日本では、鍼灸師の需要は今後も継続して高いでしょう。鍼灸師に興味がある方は、まずは自分が通いやすい鍼灸専門学校を探してみることから始めてみましょう。
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